初めて人を雇うときの手続き
社長ひとりだった会社が最初の1人を雇うと、それまでなかった手続きが一気に増えます。社会保険(健康保険・厚生年金)はすでに入っているはずなので、新しく発生するのは主に労働保険まわりと帳簿です。
新しく発生するもの・しないもの
| 手続き | ひとり法人のとき | 1人雇ったあと |
|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金 | すでに加入 | 被保険者を1人追加 |
| 労災保険(労働保険) | 対象者なし | 新たに成立 |
| 雇用保険 | 対象者なし | 新たに成立(条件を満たす場合) |
| 法定三帳簿 | 役員のみなら対象外 | 作成義務 |
| 就業規則 | 不要 | 常時10人未満なら義務なし |
役員は労働者ではないため、社長ひとりの間は労災も雇用保険もありません。最初の1人で初めて「労働者を使う事業」になります。
1. 労働保険の保険関係成立届
あわせて概算保険料申告書を提出し、その年度分の労災保険料を先に納めます。労災保険料は全額会社負担で、給与から控除しません。
2. 雇用保険適用事業所設置届
ここで登記事項証明書が必要になります。取り方は→ 登記事項証明書の取り方。オンラインで取得する場合は→ 登記情報提供サービスの使い分け
3. 雇用保険被保険者資格取得届
設置届と資格取得届は期限が違います。設置は10日以内、資格取得は翌月10日までです。
4. 法定三帳簿を作る
労働基準法は3つの帳簿を求めています。
| 帳簿 | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| 労働者名簿 | 労基法107条 | 氏名・生年月日・履歴など |
| 賃金台帳 | 労基法108条 | 賃金計算の基礎となる事項と賃金額を、賃金支払の都度記入 |
| 出勤簿など | 労働時間の適正把握 | 始業・終業時刻の記録 |
書類全般の保存年数の考え方は→ 重要書類の保管ルール
5. 給与の支払いで発生すること
給与を払う以上、源泉徴収と住民税の天引きが発生します。
- 源泉所得税 → 源泉徴収が必要になる支払い/納期の特例で年2回にする
- 住民税の特別徴収 → 住民税の特別徴収と給与支払報告書
- 年末調整 → ひとり法人でも年末調整は必要か
- 社会保険の定時決定 → 社会保険の算定基礎届
雇うか、外注にするか
「手続きが増えるから業務委託にしたい」と考える人がいますが、契約書の名前で決まるものではありません。判断基準は→ 業務委託契約と偽装請負の線引き、経費処理の違いは→ 外注費と給与の区別
順番
1. 雇用契約書を作る(労働条件の明示)
2. 保険関係成立届(10日以内・労基署)+概算保険料申告
3. 雇用保険適用事業所設置届(10日以内・ハローワーク)
4. 雇用保険被保険者資格取得届(翌月10日まで)
5. 健康保険・厚生年金の被保険者資格取得届(5日以内・年金事務所)
6. 労働者名簿・賃金台帳・出勤簿を用意
雇用契約書に何を書くかは→ 労働条件の明示で書かなければならないこと。時間外労働をさせるなら→ 36協定と時間外労働の上限。翌年からは→ 労働保険の年度更新
従業員の個人番号を集めたら管理義務が発生します。→ マイナンバーの取扱い
毎月の計算手順は→ 給与計算の手順。雇入時に健康診断も必要です。→ 健康診断の義務
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6問で次にやることを出す出典:労働保険の保険料の徴収等に関する法律4条の2、雇用保険法施行規則141条・6条、労働基準法107〜109条および附則143条(いずれもe-Gov法令検索で条文を確認)/最終確認日:2026年9月9日