労働保険の年度更新
人を雇った翌年から、毎年6月に労働保険の手続きが来ます。7月の算定基礎届と時期が近く、ひとり法人から従業員を持った年に最も抜けやすいところです。
条文
労働保険徴収法第19条第1項:事業主は、保険年度ごとに、労働保険料の額その他厚生労働省令で定める事項を記載した申告書を、次の保険年度の6月1日から40日以内(保険年度の中途に保険関係が消滅したものについては、消滅した日から50日以内)に提出しなければならない。
保険年度は4月1日から翌年3月31日です。6月1日から40日以内は、通常7月10日にあたります。
年度更新でやること
①確定保険料:前年度に実際に支払った賃金総額から、その年度の保険料を確定させる
②概算保険料:今年度の見込み賃金総額から、今年度分を先に申告して納める
③精算:前年度に納めた概算と確定の差額を、今年度分に充当または追加納付
先に払って後で精算する仕組みなので、「去年払ったのにまた請求が来た」ではありません。毎年この形で回ります。
初年度の流れ
| 時期 | やること |
|---|---|
| 最初の1人を雇った日 | 保険関係が成立 |
| 成立の日から10日以内 | 保険関係成立届(徴収法4条の2)→ 初めて人を雇うときの手続き |
| 成立後すぐ | 概算保険料申告書を提出し納付 |
| 翌年度の6月1日〜7月10日ごろ | 1回目の年度更新 |
賃金総額に何を入れるか
- 入る:基本給、諸手当、賞与、通勤手当など、労働の対償として支払うもの
- 入らない:役員報酬(役員は労働者ではないため)、退職金、慶弔見舞金など
ひとり法人が最初の1人を雇った場合、賃金総額はその1人分だけです。社長の役員報酬は含みません。ただし役員が使用人としての実態を持つ場合は扱いが変わることがあります。→ 使用人兼務役員になれる人・なれない人
労災と雇用保険で負担が違う
| 労災保険 | 雇用保険 | |
|---|---|---|
| 誰が負担するか | 全額会社 | 会社と本人で分担 |
| 対象 | 雇っている労働者全員 | 加入要件を満たす人 → 雇用保険の加入義務 |
| 料率 | 事業の種類ごとに異なる | 事業の種類ごとに異なる |
雇用保険の本人負担分は毎月の給与から控除しておき、年度更新でまとめて精算します。控除を忘れると会社が全部かぶることになります。
保険料率は年度ごとに改定されることがあります。年度更新の書類に印字されている料率、または厚生労働省が公表している当年度の料率で計算してください。
6月〜7月に集中する
- 6月:住民税の特別徴収が新年度分に切り替わる → 住民税の特別徴収と給与支払報告書
- 6月1日〜7月10日ごろ:労働保険の年度更新
- 7月1日〜7月10日:社会保険の算定基礎届 → 社会保険の算定基礎届
- 7月10日:源泉所得税(納期の特例を使っている場合の上期分)→ 源泉所得税の納期の特例
同じ週に4つ重なります。年間予定に入れておかないと必ずどれか漏れます。→ 年度替わりにやること一覧
従業員がいなくなったら
雇っている人がいなくなれば保険関係を消滅させる手続きになります。徴収法19条2項・3項は、保険関係が消滅した場合の申告期限を消滅した日から50日以内としています。放置すると保険料の請求が続きます。→ 続けるか畳むかの判断
次に読む
6問で次にやることを出す出典:労働保険の保険料の徴収等に関する法律19条、4条の2(e-Gov法令検索で条文を確認)。保険料率は厚生労働省が公表する当年度のものを参照/最終確認日:2026年9月9日