議事録の作り方と保存期間
「ひとりだから議事録は要らない」ではありません。作成義務は条文にあり、備置き期間も決まっています。役員報酬を損金にする場面など、実務でも効いてきます。
条文
同条第2項:株式会社は、株主総会の日から十年間、前項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
同条第3項:株式会社は、株主総会の日から五年間、議事録の写しをその支店に備え置かなければならない(電磁的記録で作成され、一定の措置をとっている場合を除く)。
同条第4項:株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、閲覧又は謄写の請求をすることができる。
本店10年、支店5年。他の書類より長い部類です。→ 会社の重要書類の保管、支店を作るか
必ず残す決議
| 決議 | 残さないとどうなるか |
|---|---|
| 役員報酬の決定・改定 | 金額の根拠を説明できず、損金算入で問題になる → 役員報酬の決め方と変更できる時期 |
| 計算書類の承認(定時株主総会) | 決算が確定したことを示せない → 初めての決算でやること |
| 利益相反取引の承認 | 任務懈怠が推定される → 競業避止と利益相反取引 |
| 定款変更(事業目的、本店、公告方法など) | 登記申請に添付できない → 登記が必要になる変更の一覧 |
| 役員の選任・重任 | 登記申請に添付できない → 役員の任期と重任登記 |
| 本店移転 | 同上 → 本店移転の手続き |
| 決算期の変更 | 定款変更にあたる → 決算期を変更する |
書く内容
① 開催の日時及び場所
② 議事の経過の要領及びその結果
③ 出席した取締役等の氏名
④ 議長がいるときは議長の氏名
⑤ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
(会社法施行規則72条3項に基づく記載事項。意見・発言があった場合の記載などが加わることがあります)
ひとり法人なら、A4半ページで足ります。「議長兼議事録作成者 代表取締役 ◯◯」と書いて記名押印します。
ひとりでも「開催」できるのか
株主が1人なら、その1人が出席すれば株主総会は成立します。会場に集まる必要はありません。
同条第2項:株式会社は、決議があったものとみなされた日から十年間、同項の書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
ひとり株主なら、この書面決議が最も簡単です。ただし2項により、同意の書面自体を10年間本店に備え置く義務があります。また会社法施行規則72条4項1号は、この場合の議事録の記載事項として①決議があったものとみなされた事項の内容 ②提案をした者の氏名 ③決議があったものとみなされた日 ④議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名を定めています。
取締役会がある場合
会社法371条は取締役会の議事録について、取締役会の日から10年間本店に備え置くことを定めています。取締役会を置いていない会社にはこの義務はありません。→ 取締役会を置くか置かないか
合同会社の場合
合同会社に株主総会はなく、議事録の作成義務も会社法上ありません。ただし業務執行の決定を記録に残す必要は同じです。「同意書」「決定書」といった形で作ります。→ 合同会社の運営ルール
まとめて作らない
決算のときに1年分の議事録をまとめて作る会社がありますが、役員報酬の議事録は「期首から3か月以内に決めた」ことを示すものです。後から作った日付は、実態と合っていなければ意味を持ちません。決めたその場で作るのが原則です。
税務調査で見られる書類でもあります。→ 税務調査で見られるところ
保管の仕方
- 紙で押印して保管するのが確実。電磁的記録も認められている
- 本店に置く(318条2項)。バーチャルオフィスを本店にしている場合の実務は、契約内容とあわせて確認する → 本店をどこにするか
- 年ごとにファイルを分けると、10年管理が楽になる
次に読む
6問で次にやることを出す出典:会社法318条、319条、371条(e-Gov法令検索で条文を確認)。議事録の記載事項の詳細は会社法施行規則72条を参照/最終確認日:2026年9月9日