役員の任期と重任登記
株式会社をひとりで作っても、任期が来るたびに登記が発生します。合同会社にはこれがありません。設立費用の差より、長い目ではここが効いてきます。
何年で来るのか
| 原則 | 非公開会社(株式の譲渡に会社の承認が要る会社) | |
|---|---|---|
| 取締役 | 選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで | 定款で10年以内まで伸長できる |
| 監査役 | 選任後4年以内(同上) | 定款で10年以内まで伸長できる |
出典:会社法第332条第1項・第2項、第336条第1項・第2項(e-Gov法令検索)
ひとり会社の多くは非公開会社なので、定款で10年にできます。設立時の定款にこの定めを入れておくかどうかが、最初の分かれ目です。→ 定款のつくり方
任期が来たら何をするのか
同じ人が続けるだけでも、選び直して「重任」の登記をします。会社法は、登記事項に変更が生じたときは2週間以内に変更の登記をしなければならないとしています(第915条第1項)。
登記を怠ると、100万円以下の過料の対象になり得ます。会社法第976条は、取締役などが「この法律の規定による登記をすることを怠ったとき」に100万円以下の過料に処すると定めています。「誰も見ていないから大丈夫」という話ではありません。
重任登記には登録免許税がかかります(資本金1億円以下の会社の役員変更は1万円)。10年に一度でも、忘れずに来ます。
10年にすると何が起きるか
| 2年のまま | 10年にする | |
|---|---|---|
| 登記の回数 | 多い | 少ない |
| 登記費用の合計 | 多い | 少ない |
| 忘れるリスク | 低い(周期が短く記憶に残る) | 高い(10年後は忘れる) |
| 役員を交代させたいとき | 任期満了で自然に交代できる | 任期途中の解任は損害賠償の問題が生じ得る |
ひとり会社なら10年が向いています。交代の問題が起きないからです。
逆に、将来だれかを役員に入れる可能性があるなら、長すぎる任期は身動きを取りにくくします。ここは費用より、会社の作り方の問題です。
忘れないための現実的な方法
- 設立日と任期の年をメモに残す(定款・登記事項証明書と一緒に保管する)
- 決算のたびに「今期は任期の年か」を確認する——任期は「選任後◯年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」なので、決算と結びつけて覚えるのがいちばん忘れにくい形です → 決算期はいつにするか
- 登記を長く放置すると、みなし解散の対象になります → 12年放置でみなし解散になる
合同会社を選ぶ理由になるか
合同会社の業務執行社員には任期がありません。重任登記も発生しません。設立時の登録免許税の差(最低6万円と15万円)だけでなく、この維持コストの差も合わせて比べてください。→ 合同会社と株式会社の違い
ただし、株式会社を選ぶ理由(出資を受ける予定、取引先の与信)がある場合は、任期の管理は「そのためのコスト」です。任期があるから合同会社、という順番で決める話ではありません。
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6問で、先に手をつける順番を出す出典:会社法第332条・第336条・第915条・第976条(e-Gov法令検索)。最終確認日:2026年9月8日。このページは法務の助言ではありません。