本店所在地の決め方
住所を「どこにするか」の前に、定款に「どこまで書くか」という論点があります。ここを知らないと、引っ越すたびに定款変更が必要になります。
定款には最小行政区画まで書けばよい
定款の本店の定めは、最小行政区画(市区町村、東京23区なら区)までで足ります。番地まで書くこともできますが、書いた場合はその番地から動くたびに定款変更が必要になります。
| 定款の書き方 | 同じ区内で移転したとき |
|---|---|
| 「東京都渋谷区に置く」 | 定款変更は不要。移転登記のみ |
| 「東京都渋谷区○○1-2-3に置く」 | 定款変更(株主総会決議)+移転登記 |
特別な理由がなければ、市区町村までにしておくほうが後で楽です。
本店で決まるもの
- 管轄の法務局:登記の申請先。移転で管轄が変わると手続きが増えます
- 管轄の税務署:法人税の申告先
- 都道府県税事務所・市町村:地方税の申告先
- 年金事務所:社会保険の手続き先
ここで効いてくるのが「出向く必要が出たときの距離」です。ほとんどの手続きは郵送や電子申請でできますが、ゼロではありません。
移転コストを先に把握しておく
本店移転の登記は登録免許税が1箇所につき3万円(国税庁「登録免許税の税額表」)。管轄をまたぐ場合は旧・新の双方で登記が必要になるため合計6万円です。
つまり同じ管轄内での移転のほうが安く済みます。住所を借りるなら、将来の移転先も同じ管轄になりそうな場所を選ぶと、コストが下がります。→ 本店移転の手続きと費用
助成金・制度融資の所在地要件
自治体の制度融資や助成金には、その自治体に本店があることを要件とするものがあります。使う予定があるなら、住所を決める前に対象自治体の要件を確認してください。募集要項は各自治体のサイトで公開されています。
決める順番
1. 許認可が必要な事業か確認する(住所要件があると選択肢が絞られる)→ 許認可と住所要件
2. 自宅で問題ないか判断する → 自宅を本店にすると何が起きるか
3. 借りるなら登記可のプランを選ぶ → 登記に使えないプランの見分け方
4. 定款には市区町村まで書く
出典:国税庁「登録免許税の税額表」。6年9月8日/このページは税務・法務の助言ではありません。