ひとり法人の損益分岐点
「利益が出たら法人」ではなく「これだけの固定費を毎年払える売上が続くか」です。法人は赤字でも出ていくお金があるため、個人事業とは損益分岐点の作りが違います。
法人になると必ず出ていくもの
| 項目 | 性質 | 参考 |
|---|---|---|
| 法人住民税の均等割 | 赤字でも発生 | 赤字でも払う均等割 |
| 社会保険料(会社負担分) | 役員報酬に連動。報酬0円でなければ必ず | 社会保険は社長ひとりでも入るのか |
| 税理士報酬 | 頼む場合 | 税理士に頼むか自分でやるか |
| 本店の維持費 | 賃貸・バーチャルオフィスなど | 住所サービスの料金比較 |
| 会計ソフト | 法人向けは個人向けより高い | 法人向け会計ソフトの選び方 |
| 役員の任期満了時の登記 | 数年に1回 | 役員の任期と重任登記 |
金額はサービスや自治体で変わります。ここでは金額を当てはめず、自分の見積りを入れて計算する手順を書いています。実際の料金は各社の公式サイトと自治体の案内で確認してください。
計算の順番
1. 年間の固定費を書き出す(上の表+家賃・通信・サブスク)
2. 自分に払う年間の役員報酬を決める
3. 役員報酬にかかる社会保険料の会社負担分を足す
4. 合計=年間の固定費
5. 売上に対する変動費(仕入・外注・決済手数料)の割合を出す
6. 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
やってみる(数字は仮の例)
固定費が年300万円、変動費率が20%の会社なら
300万円 ÷(1 − 0.2)= 375万円
年間375万円売って利益ゼロ。ここを超えた分の80%が利益として残ります。この数字を自分の見積りで置き換えてください。
見落としやすい3つ
- 役員報酬は固定費:期首から3か月を過ぎると原則変えられません。売上が落ちても払い続けることになります。→ 役員報酬の決め方と変更できる時期
- 社会保険料は報酬に連動して増える:報酬を上げると会社負担も上がるので、手取りの増え方は報酬の増え方より鈍くなります
- 納税のタイミングは利益と同時ではない:2期目からは中間申告も入ります。→ 法人税の中間申告が必要になる会社、消費税の中間申告
損益分岐点と資金繰りは別
損益計算上は黒字でも、入金が遅ければ資金は尽きます。損益分岐点を計算したら、次は入出金のタイミングで組み直します。→ 法人の預金管理と資金繰り表、請求書と入金管理
この計算をいつ使うか
- 法人化する前:この売上が続く見込みがあるか → 法人化するかどうかの判断
- 決算前:着地見込みと比べる → 決算書の読み方
- 畳むか続けるか:分岐点に届かない年が続くとき → 続けるか畳むかの判断
次に読む
6問で次にやることを出す出典:本文中の各制度は個別記事の出典を参照。固定費の金額は会社ごとに異なるため、本記事では特定の料金を前提にしていません/最終確認日:2026年9月9日