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株式の譲渡制限とひとり法人の株主設計

定款の「当会社の株式を譲渡するには取締役会(株主総会)の承認を要する」という一文。これがあるかないかで、会社の性格が変わります。設立時にほぼ全員が入れる条項ですが、意味を知らずに入れている人が多い部分です。

条文

会社法第107条第1項第1号は、株式会社はその発行する全部の株式の内容として「譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること」を定めることができるとしています。同条第2項第1号により、定めるときは定款に記載しなければなりません。

全部の株式に譲渡制限がついている会社を非公開会社と呼びます。株式会社の多くはこれです。

譲渡制限をつけると何が変わるか

譲渡制限あり(非公開会社)譲渡制限なし(公開会社)
知らない人が株主になる会社の承認が要る=防げる防げない
取締役会置かなくてよい設置が義務(会社法327条1項1号)
取締役の任期定款で最長10年まで伸ばせる原則2年
役員変更登記の頻度減らせる2年ごと

ひとり法人にとって実利が大きいのは任期を10年にできることです。→ 役員の任期と重任登記取締役会を置くか置かないか

株主を誰にするか

設立時、出資したお金の出どころがそのまま株主です。ここで迷う人が多い3パターンを整理します。

構成向いている場面注意点
自分100%ひとり法人・副業法人意思決定が最速。特に不都合はない
配偶者と分ける実際に配偶者も出資する離婚・相続で株式が動く。3分の1超を渡すと特別決議を単独で通せなくなる
共同創業者と分ける2人以上で始める50:50は決められない会社になる。抜けるときのルールを先に決める
議決権の目安:過半数で普通決議(役員の選任・解任など)、3分の2以上で特別決議(定款変更・解散・事業譲渡など)。自分ひとりで会社の根幹を決めたいなら、3分の2以上を確保しておく必要があります。

「名義だけ」の株主を作らない

出資していない人を株主として登記関係の書類に載せると、後でその人が本当に株主なのかという争いになります。相続が起きたときに相手方が増えるのも同じ理由です。出したお金と株主名簿を一致させるのが原則です。

出資金の入金の証拠の残し方は→ 資本金の払込証明の作り方

合同会社との違い

合同会社には株式がなく、持分と社員という仕組みです。譲渡には原則として他の社員全員の承諾が必要で、株式会社より制限が強い作りになっています。運営ルールは→ 合同会社の運営ルール、選び方は→ 株式会社と合同会社の比較

後から変えられるか

譲渡制限の設定・廃止は定款変更+登記です。株主総会の特別決議が要ります。株主構成の変更(株式の譲渡)は登記事項ではありませんが、株主名簿の書き換えと、譲渡承認の議事録が必要です。→ 登記が必要になる変更の一覧

誰が何株持っているかを記録する書類は→ 株主名簿は作らないといけないのか

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6問で次にやることを出す

出典:会社法107条、327条(e-Gov法令検索で条文を確認)/最終確認日:2026年9月9日