秘密保持契約(NDA)の実務
NDAを結んだから安心、にはなりません。法律で保護される「営業秘密」には条件があり、契約書のほうも書き方次第で機能しなくなります。
法律が守る「営業秘密」の条件
不正競争防止法第2条第6項は、「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいうと定義しています。
ここから3つの条件が読み取れます。
| 条件 | 条文の文言 | 実務で必要なこと |
|---|---|---|
| 秘密管理性 | 秘密として管理されている | アクセス制限、マル秘表示、保管場所の分離 |
| 有用性 | 事業活動に有用な | 技術上・営業上の情報であること |
| 非公知性 | 公然と知られていない | 公開資料やサイトに載っていない |
実務で最も落ちるのが秘密管理性です。誰でも見られる共有フォルダに置いてあった、という一点で保護されなくなります。NDAは秘密管理性を補強する材料の一つであって、それ単独で成立させるものではありません。
NDAで必ず決める5つ
| 項目 | 決め方 |
|---|---|
| 秘密情報の範囲 | 「開示した一切の情報」だけだと広すぎて争いになる。書面・電子データは秘密表示、口頭は開示後一定期間内に書面化という形が扱いやすい |
| 除外事由 | 既知の情報/公知になった情報/第三者から正当に得た情報/独自に開発した情報 |
| 目的外使用の禁止 | 「漏らさない」だけでなく「その目的以外に使わない」を必ず入れる |
| 期間 | 契約期間と、終了後何年守るかを分けて書く |
| 返還・破棄 | 終了時に返すのか消すのか、証明を求めるのか |
一方向か、双方向か
自分だけが情報を出すなら片務型で足りますが、打ち合わせで相手の情報も聞くなら双務型にしておくほうが安全です。片務型のNDAに署名した後で自社の情報を話してしまうと、その情報は契約の保護外になります。
いつ結ぶか
提案書を出す前です。提案書の中身が事業のアイデアそのものという場合、渡した時点で非公知性が崩れます。順番としては、NDA → 提案 → 見積 → 基本契約、になります。
取引全体の契約の流れは→ 取引基本契約書の見方
印紙は必要か
秘密保持契約書は、印紙税法の課税文書に該当しないのが一般的です。ただし業務委託の内容が同じ書面に入っていると、その部分で課税文書になることがあります。判断は→ 契約書の印紙税
ひとり法人でありがちな失敗
- 個人名で署名してしまう:法人で受注するなら、契約当事者は法人。会社の実印と印鑑証明
- 保管がGmailだけ:秘密管理性を説明できるよう、情報の置き場所を分ける。重要書類の保管ルール
- 外注先とNDAを結んでいない:委託先経由の漏えいは自社の責任問題になる。業務委託契約と偽装請負の線引き
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6問で次にやることを出す出典:不正競争防止法2条6項(e-Gov法令検索で条文を確認)/最終確認日:2026年9月9日