社会保険の月額変更届(随時改定)
役員報酬を変えたのに社会保険の届出を出していない、が起きやすい手続きです。算定基礎届は年1回ですが、報酬が大きく動いたときは別に届出が必要になります。
条文
厚生年金保険法第23条第1項:実施機関は、被保険者が現に使用される事業所において継続した3月間(各月とも、報酬支払の基礎となつた日数が17日以上でなければならない)に受けた報酬の総額を3で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となつた報酬月額に比べて著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる。
同条第2項:改定された標準報酬月額は、その年の8月(7月から12月までのいずれかの月から改定されたものについては翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。
同条第2項:改定された標準報酬月額は、その年の8月(7月から12月までのいずれかの月から改定されたものについては翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。
3つの要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 固定的賃金の変動 | 役員報酬額の改定、基本給の変更など。残業代の増減だけでは対象外 |
| 3か月の平均 | 変動した月から継続した3か月の報酬の平均で判定 |
| 支払基礎日数 | 条文どおり3か月とも17日以上 |
実務では、これに加えて標準報酬月額の等級が2等級以上変わることを要件として運用されています。等級表と該当・非該当の判定は日本年金機構の案内で確認してください。
いつから変わるか
4月から報酬を改定した場合
4月・5月・6月の3か月で判定
→ 該当すれば7月分から標準報酬月額が改定
→ 7月分の保険料は8月支給の給与から控除するのが一般的(当月分を翌月控除する場合)
条文の「著しく高低を生じた月の翌月から」は、3か月の最後の月の翌月という意味で運用されています。
役員報酬の改定と重なる
法人税では、役員報酬は期首から3か月以内に改定するのが原則です。多くの会社が事業年度開始直後に報酬を変えるため、その3か月後に月額変更届という流れになります。→ 役員報酬の決め方と変更できる時期
報酬を上げると会社負担の社会保険料も上がります。手取りの増加より会社の支出増のほうが大きいことがあるので、改定前に両方を計算してください。→ ひとり法人の損益分岐点
算定基礎届との関係
| 算定基礎届(定時決定) | 月額変更届(随時改定) | |
|---|---|---|
| 時期 | 毎年7月 | 要件を満たしたつど |
| 対象月 | 4月・5月・6月 | 固定的賃金が変動した月からの3か月 |
| 適用 | 9月から翌年8月 | 4か月目から(条文2項の期間まで) |
算定基礎届の詳細は→ 社会保険の算定基礎届
出し忘れるとどうなるか
保険料が実態と合わないまま推移し、後で気づいたときに遡って差額を一括で納めることになります。報酬を下げていた場合は払いすぎ、上げていた場合は不足です。どちらも資金繰りに影響します。→ 法人の預金管理と資金繰り表
要件の判定(2等級以上、支払基礎日数、固定的賃金にあたるか)には細かい取扱いがあります。該当するか迷ったら、判断せずに年金事務所に確認してください。届出が不要なら「不要」と言われるだけです。
次に読む
6問で次にやることを出す出典:厚生年金保険法23条(e-Gov法令検索で条文を確認)。2等級以上の差など運用上の判定基準は日本年金機構の案内を参照/最終確認日:2026年9月9日